千羽鶴は人が折るから感動する(写真:ロイター/アフロ)
  • 今年2月、ミシガン州立大で起きた銃乱射事件に出したある追悼文が炎上した。 ChatGPTに書かせた追悼文だったためだ。
  • だが、テンプレートを基に追悼文を書くのは良くあること。なぜ人間がテンプレートを参考に書くのはOKで、AIだとダメなのか。
  • 機械による仕事に不快感を抱くのはなぜなのか。「人間に任せたい仕事を考える」

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

 テクノロジーの進化は速い。ほんの少し前まで、AI(人工知能)が自動化してくれる仕事といえば、工場の組み立て作業や自動運転など一定のルールが存在する作業だけだった(もちろんそれでも十分に難易度が高く、また価値のある仕事だが)。

 しかしいま、話題の対話AI「ChatGPT」や各種のお絵描きAIに代表されるように、創造性が求められる作業も任せられるAIが登場している。人間の仕事はどこまで「彼ら」に奪われてしまうのだろうか。

 ここで重要なのは、ある仕事をAIに任せることが可能だからといって、即座にそうすることが望まれているとは限らないという点だ。

 もちろん職を失う恐怖から、各種の自動化に反対するというケースもあるだろう。

 19世紀初期のラッダイト運動(機械打ちこわし運動、英国の職人たちが労働問題などへの不満を理由として、当時普及しつつあった工場機械の破壊を行うパフォーマンスをした活動)を挙げるまでもなく、自分の仕事が機械に置き換えられてしまうのではないかという不安は、労働者であれば誰でも持っている。

 しかし、それとは関係のない感情として、「この仕事は機械に任せられるが、それでも人間にやってほしい」という思いが、どうやら人々の心の中にはあるようだ。

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