- 京都市と京都府警が公用車のドラレコ画像の活用で合意を結んだように、犯罪捜査における防犯カメラの活用が進みつつある。
- 自動運転車によるロボットタクシーが公道を走り始めた米国では、ロボットタクシーが撮影した映像の活用も始まっている。
- 最近では、行政当局による緊急時の“強制操作”も検討されているが、それはロボットタクシーを「警察官」にする行為。公権力による自動運転車のデータ活用について、さらに議論を深める必要がある。
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
「走る防犯カメラ」になりつつある自動車
テクノロジーの進化により、いまやあらゆる場所にカメラが設置され、犯罪捜査に役立てられている。
2020年2月の報道によれば、日本国内で防犯カメラが撮影した画像が容疑者特定のきっかけとなった事件は、2019年の時点で既に全体の10.2%だったそうである。それから3年以上が経過している現在では、防犯カメラの設置台数も増えており、この割合も上昇しているだろう。
◎カメラ画像で容疑者特定、検挙の1割に 台数は年々増加(朝日新聞デジタル)
中でも、近年導入が進んでいるのが車載カメラ、いわゆるドラレコ(ドライブレコーダー)だ。
JEITA(電子情報技術産業協会)の調べによれば、2021年度のドラレコ国内出荷実績は約538万台、2020年度の約460万台を大幅に上回った。それに伴い、ドラレコ映像がさまざまな捜査に役立てられるケースも増加。2020年10月には京都市と京都府警の間で、公用車に搭載されたドラレコの映像を犯罪捜査に利用することで合意書が交わされている。
この件を報じた記事によれば、京都市でドラレコが搭載されている公用車の数は、2020年の時点で市バス約820台、ごみ収集車など一般公用車約230台の計約1050台だそうだ。
「ごみ収集車も含まれるのか?」と驚かれる方もいるかもしれないが、ごみ収集は人通りの少ない時間に行われたり、狭い路地に入って行われたりするため、その際の映像は貴重なデータとなる。
そのためごみ収集車のドラレコ映像を捜査に活用しようとする取り組みは、京都市以外でも千葉市や尼崎市、松江市などで進められている。
こうした状況から、自動車が「走る防犯カメラ」になりつつあると評する声も聞かれるが、まさにその通りだと言えるだろう。
そうした状況に、いま新しい側面が加わろうとしている。その中心となるのはロボットタクシー、つまりビジネスとして送迎サービスを行う自動運転車だ。