感じ方を実装できないのは致命的欠陥

——AICOも、大量のコピーを学習させて、言葉の置き換えを出力しています。広義の意味では「生成AI」と言えるのでは?

福田:生成AIの定義にもよりますが、「創作」できる、という意味では生成AIにも入るのかなと思います。AICOは、プロのコピーライターを代替する、というレベルにはならなかったのですが、彼らの「アイデア発想のパートナー」にはなれたのかなという手応えは持っています。

 完全に置き換わらないのは、先ほど話した通り、プレゼンやインタビューなどの仕事ができないということもありますし、AICOはデータを学習しているだけなので、現実世界での体験や現在世の中を覆っている空気、人々の潜在意識といった、コピーを書く上で重要な要素を「言語化」することはできません。

 ChatGPTもAICOもそうですが、学習しているデータ量は、読書や人との会話を含めて人間が日々生きている中で受け取る情報量と比較すると桁違いに少ないわけです。やはり、創作する上では、創作者の体験や現在の流行が、血となり肉となっていて、それが第三者に伝わってこそ、「良いコピーだ」という評価を受けます。そうした物の感じ方を実装できないのが、生成AIの致命的な欠陥だと思います。