ChatGPTの「バカ正直」がアイデアの種に
——ChatGPTが「エッジの効いた」コピーを書く未来は到来しないのでしょうか。
福田:ChatGPTに、プロンプトエンジニアリング、つまりコピー専用のデータを与える設計が実装されれば、理論上はできるようになるのかもしれません。
すでに、電通デジタルは「♾️AI(ムゲンエーアイ)」という、広告制作の効果予測からクリエイティブ生成、改善までの一連の行程にAIを活用するサービスに、GPT-4を実装し、社内で試験運用をしています。これにより、テキストをはじめ、画像・動画・音声の生成が可能になり、効果的なバナー広告の作成をねらっています。
ChatGPTのポテンシャル自体にはものすごいものがあるので、今後できることが増えていくことは間違いないのかなと思います。
一方で、先ほどからお話ししているように、創作者の物の感じ方だったり、直感だったり、同業者で切磋琢磨しあったりといった、コピーライターとして重要な能力を生成AIが持つことは基本的にはできないと思うので、職業が完全に置き換わることもないと考えています。人間の経験は多様で、コピーを書く人も、それを評価する人も、必ずしも正解が一つしかない世界で生きているわけではないので、「面白い」という基準を生成AI自身がいつも満たせるようにはならないでしょう。