支えてくれる人は無限大に増えた
本音を言えば、株主との関係にはずっと悩まされてきました。親会社との溝を解消できないままグループの中にとどまっていた私は、井の中のかわずでした。今回、退任させられることで、それが強制的にリセットされます。もう、一切の甘えは許されません。
17年前と違うのは、支えてくれる人が無限に増えたことです。数えきれないほど回を重ねてきた投資セミナーで出会った個人投資家の皆さま、分散・積み立て・長期投資という考え方に賛同してくださった金融関係の皆さま・・・。
自意識過剰かもしれませんが、良くも悪くも、自分の人生は自分では決められないものだと実感しています。皆さまからの期待に応えなければと、使命感に突き動かされています。これから立ち上げる新会社は、再びこのような失敗を繰り返さないよう、万全の体制で挑みます。
次回は、私がこれから何を目指すのかについて、お話しいたします。
■セゾン投信「直販を中心に据えた販売方針は変わらず」
中野晴啓氏が退任した経緯について、クレディセゾンはJBpressの取材に対し、「生活総合サービスグループへの転換」を進める中、セゾン投信は顧客の「資産形成をサポートする重要なグループ企業の一つ」と位置付けていると回答した。その上で、経営体制の変更は、当初の設立趣旨であった「セゾンカード会員の資産形成の一助となる」ことの早期実現や、新NISAの開始で「他社との競争が激しくなる状況に対応するため」だったと説明した。
親会社として、「長期積立投資を通してお客様の経済的自立をお手伝いする」というセゾン投信の理念を支持し、スマートフォンでの取引やカード積み立てなど従来実現できていなかった領域への投資を通じて利便性を高め、販売の裾野を広げることを支援するとの方針を示した。セゾンカード会員への販路拡大については、「直販の範囲・選択を広げることであり、直販自体を否定するものではない」とした。
セゾン投信もJBpressの取材に対し、直販を中心に据えた販売方針は変更しないと回答した。理念を共有できる金融機関があれば提携を検討するが「いたずらに販売会社との提携拡大を進めることはない」と説明。まずはクレディセゾンとの金融商品仲介業や金融サービス仲介業によって、「直販の裾野を広げる予定」という。
クレディセゾンと中野氏の関係については、直接販売を中心に長期積立投資を広げていく方向性は同じだが、強化していく手法に違いがあったとの認識を示した。セゾンカード会員に対する長期投資の啓蒙をベースに直販顧客を拡大することを望む親会社に対し、「中野氏はカード会員向けへの展開に難色を示していた」(セゾン投信)という。アプリやオンラインセミナーなど多様な展開を取り入れる考えに対し、「中野氏はリアルの小規模セミナーを中心にした展開」を望んでいたという違いもあったという。(JBpress編集部)