「未来を一緒につくる」約束を果たせなかった

 私の言葉を信じてお金を託してくださった投資家の皆さまには、心より申し訳なく思います。長期投資というのは、5年や10年の話ではなく、20年、30年、あるいはもっと長い期間に及びます。そのため、「私の考えや企業風土はしっかり次の世代にも引き継いでいくので、未来を一緒につくっていきましょう」と語ってきました。その約束を果たせませんでした。

 私は、「ウソとインチキが一切ない会社にする」と社内に言い続けてきました。約束を果たせないのに沈黙していることは、お客さまにウソをつくのと同じです。私が辞め、親会社の意向が全面的に経営に反映されれば、セゾン投信のフィロソフィーは変わっていく可能性があります。受託者責任がある以上、その状況を一刻も早くお客さまに伝えなければならないと考えました。

※セゾン投信はJBpressに取材に「直販を中心に据えた販売方針に変更はありません」と回答した

 ただ、守秘義務があるので、対外的に詳細を語ることはできません。取締役会で退任が決まった翌日、メディアを通じて「不本意な退任」という一言だけメッセージを発信したのは、そこから事態を察してもらいたかったからです。