「親日狩り」という狂風

 ただ、親日反民族行為者リストが発表された2009年当時は保守派の李明博(イ・ミョンバク)政権時代だったために、市民団体が主導した親日論争は大衆的な関心を呼び起こすことができず、南原市民も反対したため、春香の肖像画を撤去することに失敗した。

 それが2017年に保守政権から進歩政権の文在寅政権に変わったことで、風向きが変わった。韓国社会では反日感情が徐々に高まり、2019年に「ノージャパン」運動が始まると、地方政府が先頭に立って親日残滓清算に突入することになった。

 当時、「親日反民族行為者705人」に名前が載った音楽家が作ったという理由で全国の学校が次々と校歌を変えたり、学校の象徴だった古松が日本産という理由だけで庭園から掘り出されたりするなど、「親日狩り」の狂風が全国から吹き荒れたのだ。

「韓国のモナリザ」と礼賛されてきた金殷鎬画伯の春香肖像画も、市民団体の主導で2020年9月に社から退去されることになった。そのため南原市と市民団体は新しい肖像画製作のための審査に入り、2年以上の歳月を経て、今年5月25日、ついに新しい肖像画が春香の社に奉献されたのだった。

 ところがこの日初公開された新しい肖像画が思わぬ騒動を呼び起こした。地元紙は当時の状況をこう伝えている。