会社にとって魅力的なリファラル採用「3つのメリット」

 一方、社員の数だけ存在する“ご縁”を新たな採用ルートとして活用できるリファラル採用は、採用難に苦しむ会社にとっても魅力的です。さらに、リファラル採用ならではのメリットもあります。大きく3点挙げたいと思います。

 まず1つ目は、効率の良さです。選考開始のきっかけが社員からの推薦であることから、その人材は、少なくとも推薦してくれた社員に対して「きっと会社の戦力になる」「一緒に働きたい」などと思わせる何らかの要素をすでに有していることになります。

 一般的な採用工程の場合、まずエントリーフォームや書類などに目を通し、選考を通過した人と一次面接の場を設け、そこで初めて実際に会った印象などを確認するという流れで進んでいきます。しかし、リファラル採用であればそれらの工程をショートカットして効率的に選考を進めることができるのです。

 次に、比較的低コストで採用できることもリファラル採用のメリットに挙げられます。

 求人広告の場合、採用の可否に関わらず広告掲載費用がかかるのが一般的です。そのため、100万円を注ぎこんでも採用できないなんてこともありえます。また、有料人材紹介を利用した場合の費用相場は、初年度年収の35%程度。仮に年収500万円の人材を採用した場合、費用は175万円とかなり高額です。

 その点、リファラル採用であれば、取り組み方次第で費用をほとんどかけずに採用することも不可能ではありません。求職者を紹介してくれた社員に特別給与などの形で報奨金を出すケースも多く見られますが、金額は10万円など有料人材紹介の利用費よりずっと低く抑えられます。採用にかかる交通費や食事代などを含めても、大きなコストにはなりません。

 最後3点目のメリットは、社員の視野を広げるきっかけを提供できることです。人事や広報など、取り組みの影響が会社全体に及ぶポジションにでもついていない限り、社員の多くは自身に与えられた目標や所属する部門内での役割に集中しています。それはそれで大切なことでもありますが、どうしても目線が身近な範囲に限定されがちです。

 しかし、リファラル採用に携わる社員は、会社がどんな事業を行っていてどんな強みがあるのかなど、自社の全体像について説明したり、質問に答えたりしなければなりません。それが自社の姿や職場のあり方などを客観的に捉え直す機会となり、日ごろは身近な範囲に限定されがちな社員の視野を広げる効果が期待できます。

 また他にも、自社の社員が個々に持ち合わせている“ご縁”を活用するため新たな投資が不要なことや、どんな会社でも制度をつくればすぐに始められることなどもリファラル採用のメリットです。