「残してどうする?」から「残したい」へ

桑本氏:廃線活用に取り組む人たちの高齢化です。広瀬愛護会のメンバーは35人全員が60歳以上です。

 高千穂や小坂に比べると、こちらはボランティア的要素が強い活動です。昔ながらのたたずまいを保っていくうえで、若い人材をどうやって見つけるかというのが、難しい課題です。

 廃線も次第に過去のものになっていきます。その路線が使われていた現役時代を知らない世代は増えていきます。知らない世代にとっては「それを残してどうするの?」となってしまいかねません。

旧三河広瀬駅の廃線敷。このレールを「残したい」という意思をつないでいけるか

 次世代の担い手に「残したい」と思ってもらえるかどうか。魅力をどう打ち出していくのか。この点が、廃線活用を長続きさせるためには欠かせないでしょう。

 担い手の高齢化や資金面など、廃線活用の現場において共通課題は少なくありません。今後増えてくる廃線の活用においては、同様の地域・団体間で意見交換したり、知見を共有したりすることがヒントにつながっていくかもしれません。