4月15日に稼働停止したドイツのエムスランド原発(写真:AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 ロシア軍のウクライナ侵攻から14カ月が経とうとしているが、停戦の見通しは立っていない。アメリカは先頭に立ってウクライナを支援しており、停戦への具体的なシナリオも予定表も持っていない。NATO加盟国は、この盟主の意向に従うしかない。

 一方、ロシアは劣勢に立たされているとはいえ、核兵器を保有する軍事大国であり、プーチン大統領は継戦の意思を内外に示している。

 そのような中で、欧州諸国は足並みを乱さずに、ウクライナ支援を続けていけるのであろうか。

国民の過半数が反対する中での「脱原発」

 4月15日、ドイツは全ての原発を停止した。

 2011年3月の福島第一原発事故を受けて、当時のメルケル政権は、その時点で稼働していた17基の原発のうち、古い原発7基と事故停止中の1基を稼働停止にし、残り9基も2022年末までに段階的に廃炉にする方針を決めた。

 今のショルツ政権には、原発廃止をうたってきた緑の党が政権に参加している。そのこともあって、既定の原発停止を継承したが、ウクライナ戦争によって実施時期が昨年末から今まで延期されていたのである。

 電源構成を見ると、2011年には18%だった原子力は、昨年は6%にまで落ちていた。一方、再生可能エネルギーは20%から44%に増えたのである。