基礎的なビジネススキルをどうやって身につけるのか?

 では、その基礎的なビジネススキルの構成要素とは何なのか? それらを身につけるには、何をどう学べばよいのか? もしそれらがわかったら、つまり、コンサルティングファームでは、何を、どのように学んでいるかがわかって、それを適切に身につければ、コンサルタント並み、あるいはそれ以上の市場価値を持っていくことも可能ではないか、ということになります。

 そして、それは実際に可能です。

 そもそもの大前提として、ビジネススキルのトレーニングにおいては、

OSとアプリケーションを分けて学ぶ必要がある

 という共通認識をここで持ちたいと思います。

 フレームワークとか、ロジカルシンキングとか、経営戦略とか、マーケティング戦略とか、そういったものは、全て「アプリケーション」です。そして、私がこれからお話ししようとしている基礎的なビジネススキルが、OSです。土台と建物、器と中身、あるいは、ベースと応用と言い換えてもいいでしょう。

 そして、重要なことは、コンサルティングファームでは、ビジネススキルをこの土台と建物に完全に分けてトレーニングする、ということです。

 これに対して、事業会社では、それらが切り分けられることなく、ほとんど実践の中で自然に身につけていくことが期待されているのではないでしょうか。要するに、学ぶ内容も学び方も、定まっていないのです。

 ビジネスパーソンの持つべき土台となるスキルと、その上に載る建物のようなスキルを完全に切り分けて、

まずは、土台を徹底的に磨く

 これがコンサルティングファームがやっている「教育法」です。

 徹底的に磨くとはどういうことかというと、必要なスキルを「定着させる」ことです。ただ単にわかっただけではだめです。完全に自分のものになるまで徹底的に鍛えます。

 そのために、脳を刺激します。脳の作用を味方にします。

 刺激の入れ方と定着のさせ方にも方法があります。

刺激の入れ方は「必要性」、定着は「フィードバック」

 がキーワードになります。

 実践の中で、必要に迫られて懸命に学び、アウトプットに対して徹底的にフィードバックを受ける。それまで優等生でやってきた新人が、完膚なきまでにたたきのめされるほどに何度も何度も厳しいフィードバックを受けるのです。

(つづく)ビジネススキルのOSをつくっているものは何か? 続けて「『バラにはトゲがある』コンサル出身者がこんな表現を使わない理由」をお読みください。

コンサル脳を鍛える』(中村 健太郎著、BOW&PARTNERS)