コンサルティングファーム出身者の市場価値はなぜ高いのか?
さて、話を戻しますと、コンサルティングファームに5年間在籍し、プロジェクトマネジメント経験を持つ人材が事業会社から高給で迎えられるのは、それに値するビジネススキルを身につけ、実際に、成果を上げることを期待されるからです。
つまり、高い市場価値の源泉は、コンサルタントのスキルにあります。
だとしたら、コンサルティングファームにいなくても、自分でそのスキルを身につければいいのではないか。
実際、そのように考える人も多く、書店には、「ロジカルシンキング」とか「経営戦略」、「フレームワーク集」などなど、コンサルティングファーム出身者たちによる「コンサルのビジネススキル」的なノウハウ本が溢れています。直近では、その傾向が顕著で、まさに、ノウハウのダダ漏れ状態です。「経営コンサルタントの考え方」「経営コンサルタントの一日の生活」といった自己啓発書のようなものもあります。
ところが、だからといって、コンサル出身者以外の人がこぞって、コンサル出身者と同等のビジネススキルを身につけるようになった、という話はいっこうに聞きません。もしそうだとしたら、コンサル出身者の希少性がなくなり、市場価値は下がるはずなのですが、下がるどころか、上がる一方です。
ということはつまり、現在出ている書籍では本当のスキルは身につかない、そこにあるようなノウハウだけではないコンサルタント独自のビジネススキルがある、ということではないでしょうか? そして、それこそが、高い市場価値に繋がるビジネススキルだということではないでしょうか?
一体それは何なんだろう? 若手コンサルタントの育成に携わってきた私にとっても、それは大きな疑問でした。
もとは、同じレベルの学生だったはずなのに、どうしてコンサルティングファームに入った人にはビジネススキルが身につくのか?
その要因の一端に気づいたのは、皮肉にも事業会社のエグゼクティブや優秀とされる若手のビジネススキルの低さに直面したことがきっかけでした。