コンサルタントの市場価値

 では実際に、コンサルティングファームを経験したコンサルタントの市場価値は高いのか、というと、はい、非常に高い。

 たとえば、コンサルティングファームで5年間、順調にスキルを身につけると、ファームによって呼び方は違いますが、一般的にはマネージャーというポジションにつきます。 そのとき、年収は1000万円を大きく超えます。20代で1000万円以上の価値がつくわけです。ですから、 それから事業会社や金融機関に転職する場合も、最初から、ある領域を任され、管理職、執行責任者での登用となるケースがほとんどです。

 外資系企業の日本法人のエグゼクティブや、スタートアップのCEOやCOOとして、桁違いの高報酬で迎えられることもあります。最近は、自ら起業する人も増えており、成功しているスタートアップの経営者には、コンサルティングファーム出身者が多く見られます。

 ちなみに、コンサルティングファームに在籍し続けると、マネージャーのあと、シニアマネージャー、次いで、パートナーに昇進し、主に案件獲得の業務に就くようになりますが、そのようにして、最後までファームに在籍する人は全体の2~5%未満です。多くの人が、いくつかのフェーズで「卒業」していきます。

 最初のフェーズは、特定の問題を解決できるようになったタイミング。マネージャーの手前で、コンサルタントとして立ち上がったタイミングです。

 その後、マネージャーを務める中で、さまざまな分野でベーシックな問題解決ができるようになります。そして、だんだん複合的な問題の解決へと向かっていく。そうなると、シニアマネージャーです。だいたい入社6年目から8年目。ここで、「卒業」の2つめの波が来ます。

 というのも、シニアマネージャーのあとは、パートナーになるわけですが、そこからは問題解決のスキルよりも、コンサルティングをどのように売るかという、クライアント企業のエグゼクティブとの信頼関係を構築するスキルが求められるようになってくるからです。つまり、広義の「営業力」です。私自身も、アクセンチュア時代、仕事の8割は「営業」でした。それが好きか嫌いかで、パートナーとしてファームに残るか転職するかに、分かれます。