書店のビジネス書コーナーでは、コンサルタントが執筆した様々なノウハウ本が人気を集めている。しかしそれらの本を読んだとしても、誰もがコンサルタントと同様のビジネススキルを身につけられるとは限らない。20年以上にわたり戦略コンサルティングに携わってきた中村健太郎氏(FIELD MANAGEMENT STRATEGY 代表)は、著書『コンサル脳を鍛える』の中で「身につけるべきスキルが正しくても、適切な鍛え方をしないとスキルは身につかない」と指摘する。ビジネススキルを高める、コンサルファームならではの教育法とは?
(*)本稿は『コンサル脳を鍛える』(中村 健太郎著、BOW&PARTNERS)から一部を抜粋・再編集したものです。
コンサル人気の理由
近年、就職先として、就活生の間で最も人気な業界の一つが、コンサルティング業界です。特に、東大、京大、一橋、東工大、早慶など、一流と言われる大学の学生の間での人気は高く、東大生の就職希望ランキングはこの3年間連続で、コンサル企業であるアクセンチュアがトップ。ほかにも、外資系ファーム、野村総研などが続きます。
なぜコンサルが人気なのか? その志望動機を聞いてみますと、自分を試したい、つまり、外資コンサルティングファームというハードな職場で、自分の能力を試したい、という声をよく耳にします。ほかにはもちろん、収入が高いとか、外資がかっこいい、ということもありますが、最近、特によく聞かれるようになってきたのが、人生をショートカットしたいから、という理由。
つまり、一般の事業会社に行くと、意思決定層にたどりつくまで30年ぐらいかかるのを、コンサルティングファームに行けば、3年目、4年目から、事業会社の社長と議論ができる。30年かけて、ようやく手に入れられることが、10分の1以下の時間でできるという点です。コスパ(コストパフォーマンス)ならぬタイパ(タイムパフォーマンス)という言葉が流行語にもなる昨今、これは、大きな魅力として映っているようです。
コンサルティングファームを志望する理由は、人によって時代によってさまざまですが、ベースにあるのは、スキルが向上すること、それによって、自分の市場価値が高くなる、ということではないでしょうか。