ベビーカーを押して鶯谷を歩き回った私

 ライターを目指す素人は、みんなCさんのような道をたどるのだろうか。

 筆者の場合、「風俗で働く女性たちにインタビュー」という案件を提示された時、「母親として、風俗求人の媒体からお金をもらうこと」にかなり葛藤した覚えがある。風俗で働くシングルマザーが数多くいる現実も知り、そのことにも衝撃を受けていた。

 しかし結局、報酬に目がくらんで、仕事を引き受けた。まだオムツも外れていない我が子をベビーカーに乗せ、歌舞伎町や鶯谷を歩き回ったこともある。その後、別のライター仕事が見つかったので、風俗案件は数回で辞めてしまったが。

 しかし今思えば、あの時踏み込んだお陰で、一気に視界が開けていった気がする。過去の肩書にこだわらず、自由に泳ぎ回ってしまえという冒険心が芽生えた瞬間だった。

 というわけで(どういうわけなんだか)、ライターを目指すおじさんよ。いや、副業を探すすべてのおじさんよ。コネもスキルも専門性もないなら、犯罪に加担しない限り、どんな仕事でもやってみればよい。

 人に言いづらい仕事は、自分自身を新たなフェーズへと誘(いざな)ってくれる、と思う。