妻が怖くてAVを楽しむどころではなく

 Cさんはこれまで通り朝4時に起床、隣で寝ている妻を2階の寝室に残し、1階のリビングへ移動。ヘッドホンを装着し、パソコンでAVの視聴を開始した。

 ところが、これがとてつもなく大変な「仕事」だった。

「発注者からは、『1日最低5本のあらすじは書いてほしい』と言われました。しかし私が朝活に使えるのは1時間半ほど。限られた時間でAVを5本も見ることは難しいため、早送りで見るのです。あらすじは5分ほどで書き上げなければいけない」

 さらにCさんは「熟女」「巨乳」などのキーワードを選んで、「タグ付け」をする作業も任されていた。

「AVをざっと見ては書いて、ざっと見ては書いての繰り返しです。内容を楽しむどころではない。飛ばし見しても追いつかない。流れ作業でやっているうちに、どれがどのAVなのか混乱する始末で」

 しかし、Cさんが一番疲弊したのはそこではなかった。妻がいつ起きてくるのかビクビクして、集中できなかったのだという。

「家内にバレないかとヒヤヒヤして、それが一番キツかった。バレたら『早起きして、何してんの!』となりますからね」

 Cさん宅ではお子さんたちはすでに独立し、同居しているのは妻だけ。彼女がトイレに起きて来るかも、ヘッドホンを外すと後ろに立っているかも。そう思うと気が気ではなく、内容も頭に入ってこない。

「家内にバレることを恐れているうちに、何のためにこの副業をしているのかわからなくなり、数回でこの仕事はお断りしました」

 Cさんはお金より、妻の信頼を失うことを恐れたようだ。

「できるならAVのあらすじのような仕事ではなく、楽器や人事に関することを執筆できたらいいのですが……」

 自分の好きなことで「稼げる人」になるのは簡単ではない。Cさんはライターの仕事を諦め、今はポイ活(ポイント活動)やアンケートモニターなどの副業に取り組んでいるという。