「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」
近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ。人生100年時代、中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、逞しくもどこか哀愁漂う姿をリポートする。
(若月 澪子:フリーライター)
ライターになりたいおじさんたち
副業を模索する中高年男性にインタビューをしていると、「ライターになりたい」と話すおじさんは多い。
筆者に向かって、「いい仕事ありませんか?」「どうやって稼げばいいですか?」と聞いてくることもしばしばだ。正直、こっちが聞きたい。
おじさんたちは、簡単にライターになれると思っている。実際、「ライター」と名乗ればその瞬間からなれるとも言えるが、「稼ぐライター」となると話は別だ。
ネット上の求人サイトでは、「ライティング」「ライター」の案件をよく見かける。「経験者のみ」という募集が多いが、中には「経験不問」「初心者OK」というものもある。
しかし「経験不問」の案件に応募してみると、実は「エロ仕事だった」ということがしばしばある。
正社員の仕事をリタイアし、現在は嘱託として働きながら副業を探す50代男性が、こんなことを話していた。
「自分のようなライターとは言えないような人間は、ライター募集に応募しても、だいたい返事も返ってこない。それが成人向けの案件だと、相手にしてくれるんです。応募者が少ないからなんでしょうか……」