心身の健康だけでなく、社会的にも良好な状態にあることを意味する「ウェルビーイング」。最近では「顧客のウェルビーイングを起点とした商品・サービス開発」への関心も高まっている。この新しい潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えていくのか? またそこからどのような産業やマーケットが生まれていくのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業、インテグレードのCEO・藤田康人氏が、ウェルビーイングに取り組む実践者たちとの対話を通じて、これからの新しいビジネスを考察する。
今回は、クラフトビールからウェルビーイングを実現したヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)の井手直行社長に、事業の世界観や将来性について聞いた。
毛色がちがう!ヤッホーブルーイングのビールたち
藤田康人氏(以下、敬称略) ヤッホーブルーイングのユニークなクラフトビール、私も大ファンです。今年(2022年)9月に発売した拙著『ウェルビーイングビジネスの教科書』(アスコム)でもご紹介させていただきました。
井手直行氏(以下、敬称略) ありがとうございます。「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、他のビールメーカーとは、全く違う戦略を取りながら歩んできました。
藤田 貴社のビールはとにかく他と毛色がちがう・・・といいますか。今日はぜひ、そのあたりの話をお聞きしたいんです。
ミッションの中に“幸せ”というフレーズがありますが、ヤッホーブルーイングはまさにクラフトビールで人々をつないでいると思います。人のつながりから得られる幸せは、メンタルヘルスに不可欠であり、ウェルビーイングの視点から見ても非常に貴重な取り組みだと思います。ビールという商品だけで勝負してきた他社とは異なり、御社の取り組みは新しい価値を提供しているのではないかと。