藤田 マーケティングにおいて、顧客視点が大切であることは当然ですが、ヤッホーは良い意味で顧客絶対主義だと思います。さらに、ファンとの価値観の相互共有があり、ファンがヤッホーを育てたという構図が成り立っているのだと。コロナ禍では、イベントをどう開催したんですか?

井手 オンラインの配信イベント「よなよなエールの“おうち”超宴」を行い、2日間で1万人もの方がアクセスしてくれました。今は、オンラインでの小規模交流イベント「よなよな 月の道楽座」を定期開催しています。

藤田 すごい! どうやったらそんなに、盛り上がるんですか? 他のブランドでは真似できないのでは?

井手 一番大切なのは、組織文化だと思います。イベントはすべて自分たちで企画、運営するのですが、核となるのはやはり人です。もっといえば、組織に合った人なんだと。楽しんでもらうために、企画は「そこまでやる!?」といわれるくらいに売上や採算は度外視。イベントのために雇ったスタッフではなく、ファンの方々に幸せな気持ちになってもらいたい、楽しんでもらいたい、と心から思っているスタッフたちが楽しみながら自ら企画運営をしているからこそ、それに触れたファンの方々にも心から楽しんでもらえる。お金を払って代理店などに委託するのとは違った個性やカラーが出せるのが他のブランドでは真似できない理由かと思います。

藤田 参加者の多いイベントはどうするんですか?

井手 5000人規模のイベントは、ファンの方にボランティアとして参加してもらいました。声をかけると100人くらいあっという間に集まってくれて・・・。「よなよなエールの超宴」は、私たちの強みを出すことができますし、ファンの方々にもヤッホーのカルチャーを楽しんでもらうことができる。幸せな時間の共有になるんです。

藤田 企業とお客さんの隔たりが無くなってきていますね。