写真はイメージです(出所:Pixabay)

 心身の健康だけでなく社会的にも良好な状態にあることを意味する「ウェルビーイング」。最近では「顧客のウェルビーイングを起点とした商品・サービス開発」への関心も高まっている。この新しい潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えていくのか? またそこからどのような産業やマーケットが生まれていくのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業「インテグレート」のCEO、藤田康人氏が、ウェルビーイングに取り組む実践者たちとの対話を通じて、これからの新しいビジネスを考察する。

 今回は、昨今注目されている住友生命の健康増進型保険「Vitality」について、藤田氏が同社の藤本宏樹氏にウェルビーイングとの関係や将来性を聞いた。(JBpress)

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Vitalityは「健康になるための保険」

藤田康人氏(以下、敬称略) これまで保険商品は一般的に、実際に何かが起きたときの補償範囲や金額と、それに対する掛け金のバランスやそのお得さで選ばれていました。それに対して、「リスクに備える」から「リスクに備えながら、そのリスクそのものを減らす」方向へと大きく舵を切り替えたことでウェルビーイングを実現する住友生命の「Vitality」。ウェルビーイングを社会実装した成功例として注目されています。

藤本宏樹氏(以下、敬称略) 昨今は健康経営の文脈で“従業員のウェルビーイング”が注目されるようになりましたが、“ウェルビーイングなビジネス”はこれからだと思っています。私たちは自社の職員だけでなく、広く世の中にウェルビーイングなサービスをお届けしたいという思いが強いですね。

藤田 一マーケターとしても、ウェルビーイングという捉えにくい概念をビジネスに適用することの難しさを感じています。新しい概念や価値をビジネスに取り入れようとすると、競争原理とかキラーコンセプトとか従来のスキームから考えてしまいがちです。でも、ウェルビーイングは競争しないんですよね。つまり、マーケティングのチープな戦略に見えてしまうのは、ダメなのだろうと。