また、考え方の違いも大きい。私は子ども時代の一時期を海外で過ごしましたが、ウェルビーイングという言葉を抜きにしても、“自分らしく生きていく”ということに海外の人たちは貪欲です。
一方、日本人は受動的で、環境は会社や地域、家族、コミュニティが与えてくれるという発想も強いかと思います。ただしわが国の財源の問題も大きいですし、今後はますます、個人が生き方を選ぶ時代になっていくのではないかと思います。そこを意識しないとサービスやマネタイズまで行き着かないという危機感はあります。
藤本 同感です。一般的に日本の素晴らしい医療制度の中で個人向けのヘルスケアビジネスは成り立ちにくいと言われています。ただ、Vitalityは個人向けのサービスとして伸びてきているという実感があります。それは、Vitalityが健康課題を解決するサービスであるだけでなく、保険機能とセットになっているところが大きいのだと思います。保険とウェルネスは相互補完的に機能します。
余談ですが、Vitalityでは開発時には想像していなかった効果も生まれています。たとえば「リワードをもらうと家族が喜ぶから健康増進活動を頑張る」とか、ユーザー同士が健康増進活動を応援しあうファンコミュニティが生まれたりと、Vitalityが人と人をつなぐ絆になっているようです。Vitalityに関わる行動をSNSに投稿してくれる方も増えました。保険についてのポジティブな投稿なんて昔は考えられなかったですから。こうした人生を豊かにする、まさにウェルビーイングなサービスに育ってきていると実感しています。
藤田 ファンが増えたんですね! 保険でファンをつくるというのが新しく感じます。
藤本 そうですね。この延長線上に何か新しい世界が開ける、という予感があります。
藤田 Vitalityに限らず、継続的にWaaSを実現するために、何が必要だと考えていますか?
藤本 やはりビジネスなので、サービスを提供した結果、ユーザーがどの程度ウェルビーイングを実現できたかは見ていきたいですね。難しいですが、ウェルビーイングを可視化していくことが必要かと。それができないとサービスの効果がわかりませんから。ウェルビーイングが持続している状態が、何らかの生体反応に反映されればわかりやすいんですけれどね・・・。