ところが、呆れたのは「質問権」の行使もはじめてのことだからという理由で、永山桂子文部科学大臣が宗教法人審議会に諮る内容を事前に検討する専門家会議を立ち上げるとしたことだった。もう一手間かかって、余計に時間がかかる。それで統一教会から回答を得たとしても、解散の事由がなければ、教団の存立にお墨付きを与えることになる。

一晩たったら自分の答弁をひっくり返す

 翌18日の火曜日の衆議院予算委員会。宗教法人法に規定された解散命令の事由には、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」とある。この「法令違反」について岸田首相は、

「刑法等の実定法規の定める禁止規範、または命令違反に違反するものであるという考え方、これを踏襲している」

 すなわち、刑法違反のみに限られると答弁。その上で、

「民法の不法行為は入らない」

 と、断言していた。

 ところが、だった。翌19日水曜日の参議院予算委員会では、

「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法の要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入りうる」

 と、一夜にして前言を撤回。

「個別事案、それぞれに応じて検討するべきであり、結果としてご指摘のように民法の不法行為も該当する、このように政府としては考え方、整理をさせていただきました」

 そう説明したのだ。

 これを受けて、質問した立憲民主党の小西洋之議員が、その場で「朝令暮改にもほどがある」と言い放ってみせた。