これを前提に、首相は「刑法違反のみに限られる」としていることに含みをもたせていた。だが、それでは刑事訴追しても判決がでるまでに時間がかかりすぎる、と野党が批判していた。

「聞く力」というよりも「日和見主義」

 そこで発揮された「聞く力」。というよりも「日和見主義」。

 教団の組織的な不法行為を認めた民事裁判の判決は、2016年と17年の2件ある。

 前者は信者である元妻に意思に反した献金をさせたとして男性が損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が「組織的な不法行為として(教団が)損害賠償責任を負う」と認め、高裁で確定。

 もうひとつは元信者が訴えた裁判で、東京高裁は信者による勧誘を「教団自身が行った不法行為」として、教団に賠償を命じた。その判決が確定している。