(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
政府は、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題をめぐり、宗教法人法に基づく「質問権」を活用した調査実施に乗り出す。一部の報道が速報として週末から伝えている。岸田文雄首相が、きょう17日に開かれる衆議院予算委員会で表明する。
これは宗教法人の解散命令を請求する前段の措置。法令違反などの要件に該当するかどうかを調べる。
報道各社の世論調査で支持率が続落する岸田政権。時事通信が7~10日に実施した調査では、政権維持の「危険水域」とされる30%を割る27.4%まで落ち込んだ。いずれの調査でも、統一教会をめぐる首相の対応を「評価しない」「不十分」などとする声が6〜7割を占める。
それまで統一教会の解散命令の請求については慎重な姿勢を示していた。ここへきて対応を変えざるを得ないところまで追い込まれたのだろう。
これで解散命令に結びつかなかったら世論は黙っていない
14日にも、立憲民主党の小西洋之参議院議員が提出した、文化庁が宗教法人法に基づく解散命令の請求を裁判所に行わない理由を質した質問主意書に対し、内閣は「憲法の定める信教の自由の保障などを踏まえれば、所轄する庁の関与は抑制的であるべきで、法人格を剥奪する極めて重い措置の解散命令の請求は十分慎重に判断すべきだ」とする答弁書を閣議決定したばかりだった。
そうした中、岸田首相が調査実施を表明したはいいが、解散命令の発動にまでたどり着けなければ、世論の反発は必至で、それこそ政権にとっては命取りになる。じっとしていても、1歩踏み出しても、安倍晋三元首相の襲撃事件で蓋が開いた統一教会をめぐる問題は重くのしかかる。