(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
「朝令暮改」と野党議員から国会で非難される。岸田文雄首相の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる対応と発言のことだ。それどころか、露呈する岸田首相の「聞く力」という名の「日和見主義」が、混乱の果てに統一教会への解散命令請求“ありき”に向かって自身を追い詰めていっている。
まずは、この1週間の目まぐるしい岸田首相の変節を整理してみる。
質問権行使し、もしも解散の自由が見つからなければ、教団の存続を認める結果に
17日の月曜日。衆議院予算委員会。岸田首相は、統一教会の問題をめぐり、宗教法人法に基づく「報告徴収」「質問権」を活用した調査実施に乗り出すことを表明した。これは宗教法人の解散命令を請求する前段の措置で、法令違反などの要件に該当するかどうかを調べる。
それまで統一教会の解散命令の請求については慎重な姿勢を示していた。たとえば、3日前の14日の金曜日にも、文化庁が宗教法人法に基づく解散命令の請求を裁判所に行わない理由を質した野党議員の質問主意書に、「憲法の定める信教の自由の保障などを踏まえれば、所轄する庁の関与は抑制的であるべきで、法人格を剥奪する極めて重い措置の解散命令の請求は十分慎重に判断すべきだ」とする答弁書を閣議決定したばかりだった。それが週明けには、この変わりようだ。
ただ、所轄庁が特定の宗教法人に報告を求める、あるいは職員に質問をさせるにあたっては、文部科学大臣が事前に宗教法人審議会に意見を聞かなければならず、その内容についても同様に諮問しなければならないことになっている。そこで手間と時間がかかる。すんなりいくとも限らない。そのことは、17日当日の朝の配信記事でまとめている(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72282)。