金融市場の動揺に、株価のクラッシュを懸念する声も聞かれるようになってきた(写真:アフロ)

急ピッチな利上げで先行き不安が強まる米国、新政権による経済政策を撤回し混乱を露呈する英国、海外投資マネーの流出に直面する新興国・・・、世界経済を巡る不透明感は強まる一方です。ニュースに一喜一憂する格好で乱高下を繰り返す株価に、日本の投資家も警戒感を強めているようです。株価のクラッシュを指摘する声も出始める中、今回は、過去のクラッシュ後の経緯を振り返りながら、今後を考察してみます。

(市岡 繁男:相場研究家)

トリプル安となった1990年の日本株暴落

 1981年に15%を超えた米長期金利がピークアウトして以降、筆者は1987年、1990年、2000年、2008年と4回の株価暴落を経験してきました。いずれも長期金利の反転上昇がきっかけです。

 そのうち最も深刻だったケースは、1990年の日本株暴落でした。何せ、最初の3カ月で株、債券、為替のトリプル安となったのです(図1)。

【図1】出所:日本経済新聞
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 ブラックマンデーがあった1987年の米国株暴落時(図2)は、株はダメでも債券やドルが買われるなど、まだ救いがありました。ところが、1990年のバブル崩壊時は全ての資産について日本売りとなり、打撃が大きかったのです。

【図2】出所:WSJ電子版
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 とはいえ、あのまま株価が下がり続けたなら「投げ売り」が出て、投資家の傷は浅く済んだのではないかと思います。現実は株価はその後の3カ月間で下げ幅の半値を戻したこともあり、投げ売りとはならず、結果的に深手を負う形になりました。