日本の株式時価総額の低下とともに、世界における東京証券取引所の存在感も薄れつつある(写真:AP/アフロ)

(市岡 繁男:相場研究家)

日本株の時価総額は米国株の1割程度に

 株式市場の先行きには慎重な声が出始めています。今回は日本のマーケットを動かす要因について考えてみたいと思います。

 1980年代末、東京の地価は山手線の内側だけで米国全土が買えるほど上昇していました。不動産価格が上がれば土地持ち会社の株価も上がる。当初は銀座などに資産を持つ会社の株が買われましたが、そのうちに東京湾岸に工場を持つ会社の株まで上がり始めたのです。さらにそんな「お宝」銘柄を探すべく、地図までバカ売れしたのでした。

 そうした事態に「異常だ」と言う声もあったのですが、「正論を聞いていたって競争に勝てない」「明日は今日よりも高いのだ」―といった心理が蔓延し、土くれを黄金に変えるという錬金術師さながらの世界を地でいっていたのです。

 1988年には日本株の時価総額(ドル換算)は米国株の約1.3倍に膨張し(図1)、世界一の株式市場となりました。日本の名目GDP(国内総生産)は米国の6割程度だったにも関わらず、です。


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 それが今や、日本株の時価総額は米国株の1割程度になってしまいました。1971年以来、実に51年ぶりの水準です。日本株の地位低下は世界株に対しても同じで、コロナ禍が蔓延した2020年以降、その傾向は加速しています。

 このところの円安で、日本のドル換算後の名目GDPは米国の15%にまで縮小しているのですから、地位低下自体は仕方ないのかもしれません。

 それにしてもなぜ、日米の株価にここまでの差が生じたのでしょうか。