(市岡 繁男:相場研究家)
欧州大手銀行の株価低迷が加速
世界の金融市場が荒れています。米国ではダウ工業株30種平均やS&P500種指数が年初来安値を更新し、英国のポンドは対ドルで過去最安値をつける事態になっています。きっかけは米国の急ピッチな利上げや、発足したばかりの英トラス政権の経済政策が市場から嫌気されたことでした。
筆者は国内信託銀行の運用担当者として1987年のブラックマンデーを経験しましたが、各種相場の値動きをみると、ロシアとの関係悪化でエネルギー価格が高騰する欧州を中心に、25年前の金融波乱が再来する怖さを感じています。
懸念するポイントは次の2点です。1点目は、金融市場の環境激変で、欧州の大手銀行のバランスシートが傷んでいる可能性があることです。
9月23日には業績不振が伝えられるクレディスイスの株価が急落しました。ロイター通信は「過去3四半期だけで、同社の損失は40億スイス
欧州の大手銀行株はいまだ2008年のリーマンショック以降の安値圏で推移しています(図1)。今年2月のロシアによるウクライナ侵攻で株価はさらに下落し、クレディスイスなどは今年2月高値の半値以下に沈んでいるのです(図2)。
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