急降下を伴う進入は運航規程に違反

 このスタビライズドアプローチは不肖私が考案して、社内で様々な意見がある中で1年間かけて議論を重ねてOM化したものだ。日本の航空界に残したものと自画自賛している。

 当時、安全推進部で調査役の任にあった私が特に力を入れた背景には、世界で過大な降下率による着陸事故が多発していたことがある。

 話を都心ルートに戻す。

 国土交通省航空局が世界の国やパイロットに公示しているAIP(航空路誌=航空機の運航に必要な情報を収録した出版物)では、GPSを利用するRNAV(広域航法)による都心ルートの進入角(着陸に向け降下する角度)を3.45度としている。

 だが、これだと航空機の重量や気象条件によっては、最大降下率である毎分1000フィート(約300メートル)を超えることがあり、スタビライズドアプローチの条件を満足できないのである。

 この点については東京3区選出の松原仁衆院議員が国会で質問主意書を出して何度も回答を求めているが、国は「そのようなデータを持ち合わせていない」の一点張りだ。

 私の計算によると、例えばボーイング777の最大降下率は、最大着陸重量、無風という条件で毎分1107フィートとなりOM違反となる。

 このようなデータは航空局の職員でも1分もあれば計算できるし、JALやANAに聞いてもすぐ回答が得られる。「データを持ち合わせていない」とする答弁はありえないものだ。

 ちなみに最大着陸重量での着陸は特別なものではなく、近距離国際線や離陸直後にトラブルが発生して、上空で燃料を捨てて着陸するときなどに起こり得るもので、OM上例外として排除できないものである。