環境団体「トヨタはEV移行への最大の障害」
昨年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、35年までに主要市場、40年までに世界市場の新車販売をすべてZEVにする協定に、米ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、独メルセデス・ベンツ、中国EV大手・比亜迪(BYD)、スウェーデンのボルボ・カー、英ジャガー・ランドローバー(JLR)など13社が賛同した。
この際に環境保護団体グリーンピースは、世界の販売台数上位10社の脱炭素化取り組みランキングを発表。トヨタは20年の世界販売に占めるEVと燃料電池車(FCV)の割合はわずか0.12%で、欧米自動車大手ステランティスと並ぶ最下位に沈んだ。
「EV移行への最大の障害になっている」と痛烈に批判されたトヨタはEVの30年世界販売目標を200万台(FCVを含む)から350万台に一気に引き上げた。
7月19日、英イングランド東部リンカンシャー州コニングスビーで英史上最高の摂氏40.3度を記録した。これまでは19年7月にケンブリッジで観測された38.7度がイギリスの最高気温だったが、39度を飛び越して一気に40度を突破した。
ロンドンでは乾燥した草むらの火災が相次いだ。黒煙が街を覆い、ロンドン消防局は「重大事態」を宣言して消火活動に当たった。
英気象庁のニコス・クリスティディス博士は「英国で摂氏40度を観測する可能性は、人間の影響を受けていない自然な気候と比較して最大10倍になる。現在の排出量削減目標を実行に移したとしても、今回のような極端な現象が起こる可能性は現在100~300年に一度だけだが、2100年ごろには15年に縮まっている」と警鐘を鳴らした。
温暖化対策は待ったなしだ。しかしウクライナ戦争でロシア産天然ガス供給が激減する欧州は冬を越すため安価な石炭に切り替えるなど温暖化対策にブレーキがかかる恐れがある。その反面、再生可能エネルギーへの投資拡大、原子力発電の利用、省エネなど温暖化対策が進められる可能性も残されている。今こそピンチをチャンスに変える政治の意志が求められる。