中国人民解放軍は8月4日から台湾本島を越える弾道ミサイルを発射するなど大規模な軍事演習を開始した(提供:The Eastern Theater Command of the Chinese People's Liberation Army/新華社/アフロ)

(在ロンドン国際ジャーナリスト・木村正人)

[ロンドン発]ロシアがウクライナに侵攻した際、西側指導者が適切に対応するのに少なくとも2日間かかったことから、中国共産党が武力で台湾を統一する決断をした場合、西側に対応する時間を与えないよう電光石火の「48時間攻勢」を完遂することを目指していると、英高級紙デーリー・テレグラフ(電子版)が8月6日、英外交筋の話として報じた。

 ウラジーミル・プーチン露大統領は、侵攻開始から48時間以内に首都キーウを制圧してウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権を打倒し傀儡政権を樹立することができなかった。

 英外交筋によれば、これを目の当たりにした中国の習近平国家主席は、ウクライナに西側から武器や資金の供与を受ける時間を与えてしまったため、ロシアの計画は頓挫したと考えているという。

習氏「台湾問題の解決と祖国の完全統一実現は党の歴史的任務だ」

 プーチン氏は2月4日の北京冬季五輪開会式に合わせて習氏と会談。共同声明で「特定の国家、軍事的・政治的同盟が他者の安全を害する一方的な軍事的利益を得ようと地政学的対立を激化させ、反目と対立を煽っている。北大西洋条約機構(NATO)のさらなる拡大に反対する」と米国とNATOを非難した。習氏はロシアが描く欧州の安全保障構想を支持した。

 習氏は2019年1月、台湾に向け「武力の使用を放棄することを約束しない。一切の必要な措置を講じる選択肢を残している」と演説した。昨年7月の中国共産党創立100年に合わせ「台湾問題の解決と祖国の完全統一実現は党の歴史的任務だ」と強い意欲を表明する一方で、「平和統一プロセスを推進する」と武力行使をトーンダウンしたように装った。