京都アニメーションの放火事件も全く予測外のテロだった(写真は事件当時のもの、写真:ロイター/アフロ)

 安倍晋三元総理が、7月8日、参議院選挙の3日前に殺害された。日本の元総理が、警察の警備下で殺害されるようなことは絶対にあってはならないことだった。

 銃撃から元総理を守れなかったことは、警護およびその関係者に問題があったという指摘が多くなされている。

 しかし、軍事作戦分析の視点から考えると、警護を依頼した側に重大な責任があるといえる。

 この事件には、多くの教訓がある。

 政治家を含めた日本人の警備(防衛)についての無関心、他人任せ、警戒心の低さ・・・。

 さらに、これまでとはイメージが異なる犯罪人、周到に準備して狙われれば対応が難しく、瞬時の判断も難しい。

 警備に対する日本人の誤解など気付いた点は数多くある。

 もしも、複数の犯人がいたり、爆発物による爆破が併用されたりしていれば、もっと多くの被害者が出ただろう。

 今回の事件は、警察の警備体制だけの問題ではない。この問題の深層にあるものを見つけ出さなければ、今後の危機管理(テロ対策)の教訓とはならない。

 警備関係者だけが検証するだけでは、日本人の危機管理の問題点は、明らかにならずに終わってしまう。

 日本人の警戒心の少なさ、政治家の責任、事前に防止する意識と処置の重要性も含め、問題の深層を探ることに重点を置いて考察する。