ここでは、「交戦の資格を有する軍隊(識別可能な徽章を装着している)」による戦いのことを正規戦、「交戦の資格を有しない者」による戦いあるいはその支援のことを非正規戦と呼び使用する。
非正規戦の実態は、表舞台に出てくることは少ない。その理由は、秘密裏に進められ、公表されることは少ない上に、証明されないからである。
砲弾やミサイルを撃ち合うなどのような目に見えるものではないので、正規戦の陰に隠れてしまっている。
とはいえ、非正規戦が正規戦と連携して実施される場合、その成果いかんによっては正規戦の成否を左右する場合がある。
非正規戦について、我が国の防衛白書に記述はない。
記述がないので、国民の関心は少ない。だが、国民がこのことを知っておかねば、国家が簡単に乗っ取られてしまうことになりかねない。
ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナはロシアが行った非正規戦について報告している。実際の戦争における非正規戦についての報告は、戦史からみて珍しいことだ。
また、戦史の記述にもあまりないことなので、ここで補足を加えて紹介する。
ウクライナ政府・軍による取り締まり
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7月17日、検事総長と情報機関の保安局長官を解任した。
両氏が管轄する機関の職員60人以上が、侵攻するロシア軍の作戦に協力した疑いがあるという理由からだ。
また、国家反逆の疑いで、650件を超える数の捜査が進められていると説明した。具体的には、
①ロシア軍や親露派の指示に従った
②クリミアを担当する保安局の元幹部らが、ロシアの特殊機関などに機密情報を渡した
③ハルキウ州を担当する保安局の幹部らが、侵略の対応を巡り職務怠慢があった
④ロシア軍に射撃目標選定に資する情報を与えた。射撃目標とする目印を付けた
⑤スマートフォンなどを使って、ウクライナ軍に関する情報を提供した、などである。