教訓6:日本・日本人の警戒心は極めて低い
演説を聞きに来ていた周りにいた人々の対応はどうだったのか。
銃撃の時の映像を見ると、身をかがめる者は誰もいない。走って逃げる人もいない。「何があったのだろう」と突っ立って見ている人ばかりであった。
パリの同時多発テロでは、バタクラン劇場にいた大勢の人々が、入り口から入ってきたテロリストに銃撃されて殺害された。
その時の教訓から、私は「ほんまでっかTV」に出演し、銃撃されれば、速やかに床に伏せるか、身をかがめて逃げろ、そしてテロリストの視界から消えろと語った。
『究極の危機管理』(内外出版)や『自衛隊はISのテロとどう戦うか』(祥伝社)にも書いた。
今回の銃撃事件で、1発目発射の時、誰も伏せる人、身をかがめて走って逃げる人はいなかった。
1発の銃声では、誰も銃撃とは分からないからだろう。こんなことに遭遇することは、日本社会ではめったにないからだ。
世界で起きていることなのに、日本では起きないと、ほとんどの人々が感じているからだ。
ドイツのフランクフルト空港の手荷物検査の時、不審な者を持っていると疑われた時、自動小銃を持った2人の警察官が傍に来ていた。
つまり、不審物を持つ者は、テロリストの可能性があると見ているのだ。日本とは全く異なる対応だ。不審者は犯罪者であるという見方なのだろう。