このように予想以上に強固で、国民からの隠れた支持も集めている岸田政権ですが、果たして、ほとんどなにもしない、「聞く力」だけで日本は中長期的に大丈夫なのでしょうか。その不安はぬぐえません。
高支持率でも党内は一枚岩に非ず
現在の岸田政権は、かつての海部政権の姿と重なって見えます。海部俊樹首相はクリーンなイメージがあり弁舌もさわやかなこともあって国民の支持率は高かったのですが、党内基盤が弱かったために海部さん自身に実行力がなく、実際に政権を裏で仕切っているのは自民党幹事長の小沢一郎さんでした。
そんな海部さんでしたが、政治改革関連法案の取り扱いを巡り党内をまとめることが出来ず、小沢さんら党内の実力者たちから見放されるような形で「海部おろし」にあって総理を辞任するという結果になってしまいました。
岸田首相も支持率を見る限り、現時点では盤石なようですが、党内に不満がないわけではありません。
例えば、菅前首相などは、自身が推し進めてきた改革路線がすっかり停滞してしまっていることに、内心不満を持っていても不思議ではありません。小石河連合と称される、小泉進次郎さん、石破茂さん、河野太郎さんたちも、「もっと改革していかなくちゃだめじゃないか」と苛立ちを感じているのではないでしょうか。
来月7月には参院選があります。衆院選は昨年10月にありました。高い支持率を保ち、参院選に勝利すれば、次の参院選まで3年あります。衆院も解散がなければ任期満了まで3年少々あります。つまりこの7月の参院選を順調に乗り切れば、およそ3年間も国政選挙がない期間になり得ます。政権をあずかる立場の人にとっては、選挙のことを考えず、改革に集中できる黄金期間となります。