しかし、そのゴリゴリぶりに国民はどうやら疲れていたようです。だからマイルドで穏やかな感じの岸田政権に、なんとなくほっとしたものを感じているのだと思うのです。
恐るべき「戦意喪失促進力」
しかし、安倍政権や菅政権が「実績」を上げたのに比べて、岸田首相は、何をやっているのかわかりません。はっきり言えば、何もしていません。それでも、野党から大々的に攻撃されたり、国民が「いいかげんにしろ」と言い出したりしないのはなぜでしょうか。
ある元国会議員が解説してくれました。
「岸田さんがすごいのは『戦意喪失促進力』だ。野党の立場からすると、安倍さんや菅さんはこちらに向かってファイティングポーズをとってくるから、こっちもついつい戦意に火がついて殴り合いがおこりやすい。
だけど岸田さんは違う。例えば首相就任直後、コロナ対策として10万円の給付案をぶち上げていたが、内外から『そんなバラマキはさすがにダメだろう』と言われたらさっさとひっこめた。戦うという感じじゃない。柔軟と言えば柔軟だけど、政府が出した案に『そうじゃなくて、こうしたほうがいいんじゃないか』と言われたりすると「わかりました。検討します」と言ってすぐひっこめちゃう。こちらとしては戦意を喪失してしまう。逆に言えばかなり手ごわい相手だ。『検討使』などと揶揄されているが、批判を受けにくいのは強みだ」
他にも、今のところ目立ったスキャンダルがないのも強みです。例えば安倍元首相の時には、桜を見る会やモリカケ問題というスキャンダルが浮上し、野党や世論の猛批判を浴びました。岸田首相には現状、それがありません。つまり野党に攻撃の糸口を与えていないのです。