*写真はイメージ。本文と直接の関係はありません

(長谷川 学:ジャーナリスト)

 公証人という職業をご存じだろうか。

 公証人は法務大臣が任命する公務員で全国に約500人いる。法務省傘下の法務局に所属し、全国に286カ所ある公証役場に勤務。遺言や任意後見契約などの公正証書の作成や、会社定款の認証などに携わる。公証人作成の公正証書は公文書として扱われる。

 定年退官した裁判官や検事、法務事務官が任命されるため「事実上、法曹エリートの天下りポスト」(ある公証人の話)と言われている。エリートのポストということから「上から目線の公証人が少なくない」(先の公証人)という。

 ところが、そのエリート公証人の1人が、監督官庁の法務省法務局から懲戒処分を受けていたことが私の取材で明らかになった。

異例の「公証人を懲戒処分」の裏に何があったか

 懲戒処分を受けたのは60代後半の元裁判官。有名私大を卒業し、数年前に退官。現在は首都圏の公証役場で公証人を務めている。

 懲戒処分は今年2月10日付。法務省関係者によると、首都圏のある法務局の局長名で、公証人法76条(公証人に対する罰則規定)に基づき、訓令と監督措置という懲戒処分が行われた。

 公証人の懲戒処分は異例中の異例。いったい何があったのか。

 話は昨年にさかのぼる。