「隠れ岸田」と「隠れトランプ」
私はこの現象を「隠れ岸田現象」ではないかと睨んでいます。
「隠れ岸田」とは、アメリカで前大統領のドナルド・トランプ氏のことを密かに支持していた人のことを指す「隠れトランプ」の“パクリ”です。岸田支持者とトランプ支持者には似たような心理が働いていると感じるのです。
そんなことを言うと「トランプと岸田さんって全然タイプが違うじゃない」と感じる人もいのではないかと思います。確かにそうです。トランプ氏は激しい言動をするタイプ、岸田首相は理性的で真逆のタイプに見えます。
それなのに、なぜ「隠れトランプ」と「隠れ岸田」が同じ現象だと私は考えたのでしょうか。
結論から言えば、それは日本の社会とアメリカの社会とで、求められるものが真逆になっているからです。トランプ氏と岸田首相が正反対のタイプでも、社会そのものも正反対だから、現象としては同じことが現れるのです。
私はリーダーシップについて各地で講演をすることが多いのですが、その際に聴衆に「岸田さんをどう思いますか、リーダーシップがあると思いますか」と聞くこともあります(私のリーダーシップの定義は、指し示す「指導力」ではなく、自ら動き始める「始動力」なので、そのイメージギャップを勘案する必要はありますが)。するとだいたいみんなポカンとしているのです。返ってくる反応も「う~ん、岸田さんって、なんか顔が見えないよね」などというものがほとんどです。
首相就任から8カ月ほどの期間で、これといった成果も見えてきていません。これまた「岸田さんが政権に就いてから成し遂げた印象的なことありますか」と聴衆に聞くと、みんなシーンとしてしまいます。「経済安保法案ですか」、「子ども家庭庁を作るって言っていたかな」などという反応があることもありますが、それらは全部、岸田さんが首相になる前から出ていた話です。結局、岸田政権の功績というのはよくわからないのです。