課題はたくさんあります。イーロン・マスクから「出生率が上がらなければ日本は消滅する」と指摘されたように、日本の少子高齢化の改善には一刻の猶予もありません。2021年の出生率がついに1.3になり、出生数が81万人という共に過去最低という衝撃の数字も出てきました。経済安保法制についても取り組みは始まっていますが、より本質的なしっかりした対策を取らないと、外国資本に利益も資源も持っていかれてしまいます。何も手を打たなかったら、今まで当たり前のように存在していた日本の地域、産業体制、文化、自然環境や資源が失われてしまうのは目に見えています。日本人にとって大事なこれらのものを「守る」ためにも、様々な改革が必要ですし、参議院選後はまさにその絶好のタイミングとなるのです。

明治維新の「二枚舌的」変革

 実は、この「守るために変える」というのが、日本を変えていくためには重要なアプローチになるのではないかと私は睨んでいます。

 明治維新もこのアプローチによって達成された事象でした。明治維新というものを、少々乱暴にまとめさせてもらえば、次のようになります。

 幕末に突然、黒船に代表される異国船が多数やってきて日本に開国を迫りました。それ以来、日本は「外国が襲ってくる、外国に日本を占領・改造させられてしまう」という恐怖に包まれました。それに対して生まれたのが、「このまま日本という国を変わらずに保とうじゃないか」という機運です。そして「変わらないためには、何よりもまず外国を追い払うことだ。攘夷だ」ということで、日本各地に「攘夷ムーブメント」が発生します。その担い手が、いわゆる維新の志士です。

 ところが外国に対して弱腰の徳川幕府では攘夷が出来そうもない、ということに多くの志士が気付いた。「ならば」と政権をひっくり返してしまったのが明治維新でした。

 そうやって明治新政府が誕生したわけですが、では肝心の攘夷はどうなったか。「幕府じゃ攘夷できないじゃないか」といって大改革をしておきながら、結局日本は開国したわけです。正確に言えば徳川幕府の時代に開国はなされていましたが、新政府設立以降は、それ以上に開国し、西洋文明をどんどん吸収していったのです。