衆院予算委員会で質問に答える岸田文雄首相(2022年5月27日、写真:つのだよしお/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 今年は参議院選挙が行われる。7月10日投票の可能性が高いと言われている。だとすれば公示まですでに1カ月を切ったことになる。そのわりには選挙の雰囲気があまりない。緊迫した情勢が続くロシアによるウクライナへの侵略戦争があることも影響しているのかもしれない。

 だが、それだけではない。強い与党と弱い野党があまりにもクッキリしていることも影響しているように思えてならない。

つかみ所のない岸田内閣

 岸田文雄内閣は発足時から不思議な内閣であった。普通、新しい内閣が発足した時には、“ご祝儀相場”と言われるように、比較的高い支持が寄せられる。2009年に麻生太郎内閣から鳩山由紀夫内閣に代わったときは、政権交代ということもあって麻生内閣の15%から72%へと57ポイントも跳ね上がった。これは極端な例だが、2020年に安倍晋三内閣から菅義偉内閣に代わったときも内閣支持率は34%から62%へと28ポイントも跳ね上がった。

 だが昨年(2021年)、菅内閣から岸田内閣に代わったときは、30%から49%へと19ポイントしか上がらなかった。新内閣の支持が50%を割ってしまったのだ。ほぼ“ご祝儀相場”はなかったということだ(いずれもNHKの世論調査)。