米海兵隊との共同訓練に参加した陸上自衛隊員(資料写真、2022年2月9日、写真:ロイター/アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 ロシアのウクライナ侵略もあってのことだろう。共産党の志位和夫委員長が、唐突に、いざというときには自衛隊を活用すると語ったことが波紋を広げている。

 実は共産党の自衛隊活用論には、私も大いに関わっている。いま共産党の幹部の人でもこの経過を知っている人は少ないだろう。共産党が「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守りぬく」という方針を打ち出したのは、私が共産党の政策委員長だった時だ。自衛隊は憲法違反の存在と言っていた共産党にとって、これまでの方針を大転換するものだった。

不破氏のテレビ出演がきっかけだった

 このきっかけになったのは、2000(平成12)年8月27日にテレビ朝日の「サンデープロジェクト」に不破哲三議長(当時)が出演した時のことだった。田原総一朗氏が司会で自由党の小沢一郎党首(当時)との討論会だった。

 当時、小沢氏は冷戦終結という国際情勢のもとで「国連軍を創設し、そこに日本も参加するというのが日本の安全保障のあり方だ」というのが持論だった。これに対して不破氏は、憲法で「国権の発動」としての戦争も、「武力による威嚇または武力の行使」も、「国際紛争を解決する手段としては放棄する」とうたっていることを挙げ、日本は国連の軍事活動には参加しないと述べた。すると小沢氏は、「そういう議論で憲法を解釈していると、日本の防衛は日本の軍備でやるべきだという議論に発展していくんですよ。どうやって日本を守るのか」と追及。田原氏がそれを受けて突っ込んでくる。以下はその後のやり取りである。