ロシア軍の攻撃を受けた住宅での消火活動(2022年3月23日、写真:ロイター/アフロ)

(古森 義久:日本戦略研究フォーラム顧問、産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日本でのウクライナ戦争への反応で目立つのは「戦争反対」の声である。当然ではあろう。村上春樹というような著名な作家までもが「ウクライナでの戦争に反対!」と主張する活動を展開している。だがこの「戦争反対」というスローガンには重大な欠陥がある。

 日本での「戦争反対」の源流をたどれば、日本国憲法にぶつかるだろう。憲法9条は日本に対して戦争を禁じ、交戦権を否定し、戦力の保持をも禁止するからだ。

 だから国として、国民として、とにかく戦うことは一切、禁止というのが日本国憲法の真髄ということになる。

ロシアの意図どおりになっていいのか

 この「戦争反対」の概念には「平和」という言葉が一体となって、からんでいる。平和のために戦争を止める、その平和こそ人類、あるいは人間にとって最高至上のあり方なのだ、というわけである。いまの日本で作家の村上春樹氏のような人たちはそんな日本の基準をウクライナにも当てはめ、「戦争反対」を叫ぶのだろう。