10年ほど続いたウジウジした状況

「40歳を過ぎて周りを見ると、5~6歳下の年次の子が、自分と同じ役職に就いていたり、自分を追い越していたりしたんです。自分はこれ以上出世できないことがわかってしまって」

 それでも給料は年功序列で上がっていくはずだった。しかし、Dさんの会社はいつの間にか、昇進しなければ、給料も上がらないシステムになっていた。Dさんの手取り年収は現在も、40代の頃とあまり変わらず600万円程度だ。

 35歳の時に35年の住宅ローンを組んでいたDさんは困った。40歳以降に給料が上がることを想定してローンを組んでいたのに、当てが外れてしまったのだ。それでも当時のDさんは、状況を嘆き続けるだけだったという。

「どうせオレは負け犬だと、ずっとウジウジしていました。転職する勇気なんてありません。とにかく会社に認められなかったことがショックでした」

 しかし、おじさんの試練は終わらない。

 ウジウジした状況を10年ほど続けた結果、Dさんは「何かやらなければ……、お金もないし」と考え始めた。きっかけは、コロナだった。Dさんが勤める会社の系列グループすべてに、「副業していいよ」というお触れが出たのだ。

「副業」という言葉を聞いた時、Dさんの頭に、「自分を認めてくれる何かに出会いたい」という欲求が湧いた。

「私は営業しかやってこなかったので、ほかにできることがありません。会社の看板を失うと、個人では何もできません。このままじゃ死ねない。新しい出会いと、新しい可能性を求めて、何か始めようと決心しました」

 その「何か」がなんだかわからないまま、Dさんはまず、インターネットを使って副業を探してみることにした。