意外に厳しかった在宅パソコンワーク

「サラリーマンの副業は外にバイトに行くのではなく、パソコンを使ってデータ入力や情報収集をするようなイメージでしたし、そういう仕事は簡単に見つかると思っていました」

 Dさんは3カ月ほど、自宅のパソコンでできそうな仕事を探し、ネット上をさまよった。ところが、実際には「そんなに都合のいい仕事はほとんどないと気が付いたんです」。

 Dさんの場合、求人に応募してみると、「この仕事をやるには、次のような講習を受けてください。講習代は3万円です」「この商品をまず購入してください」というような、詐欺まがいの案件に次々あたったという。

 実際に履歴書を送ってみても、採用まで至らない。「初心者でも大丈夫」「実績がなくてもOK」という募集を見て、テストを受けても結局は不採用。人材を登録するサイトにプロフィールを掲載しても、どこからもオファーはない。仕事をさせてもらえる案件に出会っても、報酬は数百円程度。

「記事を書くというような仕事をやってみるんですけれども、案外難しいんだなと気づかされました。時間がかかる割に、100円くらいしかもらえないこともあって」

 Dさんは在宅での副業をあきらめ、大手通販会社の物流倉庫で、夜間に宅配便の荷物をエリアごとに仕分けるバイトを週3回始めた。時給は1450円、翌日が在宅勤務の時は、夕方6時~深夜2時くらいまで働く、完全な肉体労働だ。本業の半分がリモートワークだから続けていられるという。

「正直、自分にはこれしかできないのかとガッカリしました。一体、オレは何をやっているんだろうと」

 それでも、定年までに住宅ローンを完済しなければいけない。来年は息子の大学受験もあるので、そのお金も備える必要がある。
 
「YouTubeなんかを見ていると、副業で一発当てたと自慢げに話している人がいるじゃないですか。自分も何かできるかも……なんて思ったのがバカでした。もっと早く何かに取り組んでいれば、こんなことにならなかったかも」

 Dさんは、今度は副業でウジウジすることになった。