感染しても7日間の自宅療養後は自動的に「非感染者」に
また、別の友人は2月中旬にコロナの後遺症で母親を亡くした。彼は運よく(?)、母を亡くした翌日の夕方に、ソウルの有名大学病院が運営する葬儀場を押さえることができた。だが予約できた葬儀場は200坪もある会場だった。結局、彼は莫大な費用を払わなければならなかったという。
「家族全員が一日中電話にしがみつき、ようやく一つだけ残っていた葬儀場を借りられた。しかし葬式場があまりに広すぎて、寂しくて辛い葬儀になってしまった。父もすでに亡くなっていて、私は一人息子だから家族もこぢんまりしている。しかもコロナのために弔問客は100人にも満たなかった」
筆者もこの葬儀場に行ってきたが、友人の身内だけがぽつんと葬儀場を守っていた。体育館のような広大で立派な葬儀場に置かれていた父の写真が、とりわけ寂しく見えた記憶がある。
また別の友人は、現在も自宅でコロナと格闘中だ。
「コロナ隔離期間が終わってからも熱と喉の痛みが続いている。保健所に電話しても『コロナ隔離が終わったのでもうコロナ患者ではないので、近くの病院に行ってください』と言うだけ。それなのに、いざ病院に向かっても、熱があると建物内に入ることもできない。結局そのまま家でじっと耐えるしかない」
韓国内でオミクロン株への置き換わりが始まった2月初め、文在寅政権は「自宅療養」をコロナ治療の原則に掲げ、自家隔離期間を従来の14日から10日、さらに7日へと短縮した。根拠に掲げたのは「オミクロン株の致死率は軽微なインフルエンザ水準」という点だったが、実際は大統領選挙を目前に控えていたことで、多分に政治的な計算が働いたと見られている。
この新基準よって、コロナの陽性者であっても自宅での隔離期間が7日を過ぎればもはや「コロナ感染者」に分類されなくなったため、従来に比べて完治者の統計は増え、「コロナによる死亡者数」は減った。また隔離期間が過ぎた人は原則的にコロナ病床に入ることができないため、コロナ病床稼働率にも余裕が生じた。このような“統計操作”によって、現実とはかけ離れた数字が報告されるようになった。