2019年6月、ロシアに進出した中国自動車最大手「長城汽車」の工場視察に訪れた習近平主席とプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロシアがウクライナに侵攻してから、3月24日で丸1カ月を迎えた。その間、中国ウォッチャーの私は、主に中国の動静からこの戦争に着目してきた。具体的には、「蜜月」と言われ続けた中ロ関係の変化、米中の激しい直接交渉、そして今年後半に北京で行われる第20回中国共産党大会への影響などだ。

 そんな中、日本ではあまり報道されていないが、中国でいま、「ロシア特需」が起こっている。

日米欧の企業が撤退する間隙を縫って中国企業がロシア進出

 戦争が経済特需を生むことは、古今東西の歴史が示す通りだ。かつて日本も、太平洋戦争後の焼け野原から早期に立ち直ったのは、朝鮮戦争による「朝鮮特需」の恩恵を受けたからだった。

 現在のロシアでも、周知のように、米欧日などの企業が、この1カ月で相次いで、撤退もしくは一時的な業務停止を発表した。その間隙を縫うように、中国企業がロシア市場への進出を加速させているのだ。