だが、韓国政府はワクチンと同様にコロナ治療薬の早期確保にも失敗していたため、「パクスロビド」などのコロナ治療薬は基礎疾患を患っている高齢者などにだけ支給されている。50代の私の友人はコロナ治療薬の処方を受けられないまま病院の診療さえ拒否されている。自分の免疫力にすがりながら自宅で耐えなければならないのだ。

 悲惨なことに、彼の家では妻と2人の娘もコロナに感染してしまった。自家隔離中の友人が家族にコロナをうつしてしまったのだ。文在寅大統領が選挙向けに安易な緩和策を打ち出さず、適切な防疫体制を整えていれば、こんな悲劇は起きなかったに違いない。

メディアも一斉に政府の無策ぶりを批判

 現在、韓国メディアは自国の状況を「コロナ無政府状態」と規定し、文在寅政権の無能さと無責任さが、韓国国民をコロナの恐怖に陥れ、「各自図生」せざるを得ない状態(それぞれが自分の生き延びる道を模索するしかない状況)を招いたといっせいに批判している。

 その批判の厳しさは、以下にあげた各メディアの見出しを見れば理解してもらえるだろう。

<社説>コロナ災害で無政府状態を招いた文、国民の前で謝罪せよ(文化日報・3月18日)

<社説>コロナによる1日死亡者が世界4位、これがK防疫の水準(毎日新聞・3月18日)

<社説>コロナ病床・葬儀大乱、「国民の涙」を政府は見ているのか(毎日経済、3月19日)

<社説>コロナに関する限り、大韓民国は無政府状態(中央日報・3月18日)

200万人がそれぞれ闘病、コロナ無政府状態(朝鮮日報・3月18日)

1カ月半で5000人が死亡、手放したK防疫に「各自図生」(ソウル経済・3月19日)