米議会はウクライナ支援一色
ジョー・バイデン米大統領は3月1日夜(日本時間2日午前)、米上下両院合同会議で初の一般教書演説を行った。
対ロシアでの演説の趣旨はこうだ。
一、ウクライナ侵攻を断行したロシアのウラジーミル・プーチン大統領に「独裁者の侵略に対する代償を負わせる」と、同盟国と共同で経済的制裁を科すことを改めて宣誓した。
二、「プーチン氏は6日前、脅迫で自由な世界を屈服させられると考え、その基礎を揺るがそうとした」と非難、「だがその試みは失敗に終わっている」と言い切った。
議場に招待したオクサナ・マルカロワ駐米ウクライナ大使(前財務次官)を拍手で紹介し、「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と国民の勇気や決意が世界を奮い立たせた」と称賛した。
(同大使の隣に座っていたジル大統領夫人は同大使をハグした。全議員が立ち上がって拍手してウクライナへの支持を表明した。ウクライナの小旗を手にした議員や同国国旗の黄色と青をあしらった服を着た女性議員もいた)
バイデン氏は、新たな対ロシア制裁措置は発表しなかったが、全米国民、ロシア、ウクライナ、そして全世界に向けて、ロシアによる侵攻には米軍のウクライナへの投入以外の経済・軍事支援は最大限行うことをテレビやSNSで示した。
だが、ウクライナ国内にはロシアの戦車が我が物顔で走り回り、3月2日現在、戦闘に巻き込まれたウクライナ市民約2000人が殺され、87万人が国外に避難している(ロシア兵の死者は498人=ロシア政府発表)。
停戦交渉も遅々として進んでいない。
このバイデン氏の一般教書演説をプーチン氏がどう受け取ったか。しばらく様子を見ないと分からない。
新味はないが、バイデン氏がウクライナ紛争長期化を示唆している点を見逃していないだろう。