ロシア軍が攻撃を加えて制圧したウクライナ南部にある欧州最大のザポリージャ原発(資料写真:2008年6月12日撮影、写真:AP/アフロ)

禁じ手「原発攻撃」に出たプーチン

 ウクライナに侵攻しているロシア軍が、欧州最大のザポリージャ原子力発電所を占拠した。

 原発に対する攻撃は、国際法で禁じられた危険行為だ。原発を占拠したということは原発を「人質」にしたことになる。

 前例のない暴挙に国際社会から非難の声が上がり、国連安全保障理事会は3月5日、緊急会合を開いた。

 だがいくら決議案を採決しても常任理事国のロシアが拒否権を発動すれば、何の意味もない。

 G7の先進主要国がいくら経済制裁を実行に移しても、欧米日へのエネルギー供給で影響力を持つロシアを完全に窒息させるところまでいけない。

 ウクライナには稼働中の原発が4カ所あり、このうち最も東側にあるのがザポリージャ原発だ。欧州最大級の出力で国内の電力の2割をまかなっている。

 ロシア軍は、ロシア本土や2014年に一方的に併合したクリミア半島から、ウクライナ西部などへ進軍している。

 その途上にある最重要のインフラ施設として掌握したとみられる。

 侵攻初日の2月24日には、ベラルーシから侵攻したロシア軍が、キエフの北100キロに位置し、1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発を占拠している。

 こうした状況を捉えて「われわれはすでに第3次世界大戦に突入した」という声が上がった。

 元チェス世界チャンピオンで現在「ヒューマン・ライツ財団」理事長のゲイリー・カスパロフ氏だ。

 同氏は3月3日にこうツイートした。