プーチンと習近平は示し合わせている?
西側世論から袋叩きにあっている北京五輪閉幕(2月20日)までまだ1週間あるというのに、ウクライナ情勢が一気に切迫感を増している。
「北京五輪終了後に中国は動く」(H・R・マクマスター元大統領国家安全保障担当補佐官)と予想される台湾情勢に米国防総省上層部は緊張感を高めている。
申し合わせたように米国に対する共同歩調をとるロシアと中国。米主要保守系シンクタンクの外交専門家の一人はこう呟く。
「どうもバイデン政権は覇気がない。軍事的レトリックから行動へとゲームチェンジしようとしているウラジーミル・プーチン大統領や習近平国家主席の企む対米強硬戦略に後手、後手に回っているような気がしてならない」
「それに米世論は台湾情勢へのスタンスとは異なり、ウクライナ情勢には腰が引けている。ドナルド・トランプ人気やパンデミックの対応に精一杯でジョー・バイデン大統領がいくら笛を吹いても踊りそうにない」
そのバイデン氏は、2月11日、バイデン政権で初めてとなる「インド太平洋戦略」を発表した。
「台湾海峡を含む米国、同盟国などへの軍事攻勢を抑止する」と明言、中国に対抗するため、日本を含む同盟国などと連携して軍事と経済の両面で関与を強める方針を明確にした。
すでに耳に胼胝(たこ)ができてしまうような「お題目」だが、今回の戦略はインド太平洋地域での米国の軍事・経済の指針になる。
おそらくタイミングとしては、北京五輪の最中に発表することで中国の習近平氏にくぎを刺すのが狙いだったのだろう。
さすがのバイデン周辺の軍事・外交ブレーンたちも、ウクライナ情勢がここまで緊迫の度合いを増すとは予測していなかったに違いない。